はじめに
ダイエットを始めるとき、多くの人が最初に考えるのは「何を食べればいいのか」ということではないでしょうか。スーパーフード、プロテイン、低糖質食品。新しく取り入れるべきものに目が向きがちですが、自分の場合、体が変わり始めたきっかけは「何をやめるか」を見直したことでした。
振り返ってみると、太っていた頃の自分の生活には、無意識のうちに続けていた習慣がいくつもありました。それ自体は一つひとつ些細なことで、「これが原因で太っている」と明確に言えるようなものではありません。しかし、そうした小さな習慣が毎日積み重なることで、体は確実にその影響を受けていたのです。
新しいことを始めるにはエネルギーが必要ですが、「やめる」ことは意外とハードルが低いものです。何かを買い足す必要もなければ、特別な準備も要りません。今までやっていたことを「少し減らす」「少し控える」。それだけで、日々の食生活は驚くほど変わります。
この記事では、自分がダイエットを始めてから実際にやめたこと、あるいは控えるようにしたことについて紹介します。どれも劇的な変化ではなく、日常の中で少しずつ意識を変えていっただけのことです。しかし、その「少しずつ」が積み重なった結果、体は確実に応えてくれました。
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総菜パン・菓子パンを控えた
ダイエットを始めて最初に見直したのが、総菜パンや菓子パンを買う習慣でした。
コンビニやスーパーに立ち寄ると、つい手が伸びてしまうのがパンコーナーです。手軽に食べられて、味のバリエーションも豊富で、価格も手頃。忙しい日の昼食や、小腹が空いたときの間食として、気づけば日常的に買うようになっていました。
しかし、食事管理を始めて栄養成分表示を確認するようになったとき、想像以上の数字に驚きました。一個あたりの脂質が20gを超えているもの、カロリーが400kcalを軽く超えているもの。それを「軽い食事」のつもりで食べていたわけですから、知らないうちにかなりのカロリーと脂質を摂取していたことになります。
総菜パンや菓子パンの厄介なところは、「食べた満足感のわりに栄養バランスが偏りやすい」という点です。パン一つで脂質と炭水化物は十分に摂れますが、たんぱく質や食物繊維は不足しがちです。さらに、腹持ちがそれほど良くないため、食べた後しばらくするとまたお腹が空くという悪循環に陥りやすいのです。
ただし、ここで大切にしたのは「完全にやめる」のではなく「なるべく選ばない」という意識です。パンが好きな人にとって、一切食べないという制限はストレスが大きすぎます。自分の場合も、パンそのものが嫌いになったわけではありません。ただ、「日常の食事としてパンを選ぶ頻度を減らす」という意識を持つようにしました。
具体的には、コンビニに入ったときにパンコーナーではなく、おにぎりやサラダチキンのコーナーに向かうようにする。昼食をパンで済ませていたのを、定食やお弁当に変えてみる。このくらいの変化です。完全にゼロにするのではなく、「選ぶ頻度を下げる」だけで、一週間、一ヶ月単位で見たときの摂取カロリーは大きく変わりました。
揚げ物を控えた
総菜パンと同様に、食べる頻度を見直したのが揚げ物です。
唐揚げ、とんかつ、天ぷら、フライドポテト。揚げ物は多くの人にとって好きな食べ物の上位に入るのではないでしょうか。自分もまさにそうでした。外食するときのメニュー選びでも、スーパーの総菜コーナーでも、揚げ物を選ぶことが多い食生活を送っていました。
揚げ物が体重管理において難しい食品である理由は明確です。食材を油で揚げることで、調理前と比べて脂質が大幅に増加します。鶏むね肉そのものは低脂質・高たんぱくの優秀な食材ですが、衣をつけて油で揚げた瞬間に、脂質もカロリーも跳ね上がります。少量であってもカロリーが高くなりやすいため、「少ししか食べていないのにカロリーを摂りすぎている」という状態に陥りがちなのです。
そこで自分がとったアプローチは、揚げ物を「日常的に食べるもの」から「たまに楽しむもの」へと位置づけを変えることでした。以前は週に何度も揚げ物を食べていましたが、それを「週に一回あるかないか」くらいの頻度に減らしていきました。
この「頻度を減らす」という考え方は、揚げ物に限らず食事管理全般において非常に有効だと感じています。「一切食べない」という制限は精神的な負担が大きく、長続きしにくい。しかし「頻度を減らす」であれば、「今日は控えておこう。でも週末に食べよう」と思えるので、我慢している感覚が薄くなります。
揚げ物を控えるようになってから気づいたことがあります。それは、たまに食べる揚げ物がとても美味しく感じられるようになったということです。毎日のように食べていた頃は当たり前のものでしたが、頻度を減らしたことで、一回一回の揚げ物が「特別なもの」になりました。食事管理をしているからこそ感じられる、ちょっとした贅沢。これは予想していなかった嬉しい変化でした。
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よく噛んで食べるようにした
食事の内容だけでなく、「食べ方」を変えたことも大きなきっかけでした。中でも効果を実感したのが、よく噛んで食べるようにしたことです。
正直に言えば、以前の自分は食べるスピードがかなり速い方でした。仕事の合間に急いで食べる、テレビやスマホを見ながら無意識に食べる。食事にかける時間は短く、噛む回数も少ない。食べること自体に意識が向いておらず、「気づいたら食べ終わっていた」ということが日常的にありました。
食べるのが速いことの問題点は、満腹感を感じる前に食べすぎてしまうことにあります。人間の脳が「お腹がいっぱいだ」と感じるまでには、食事を始めてからある程度の時間がかかると言われています。早食いをしてしまうと、その信号が届く前に必要以上の量を食べてしまうのです。食べ終わった後に「ちょっと食べすぎたかもしれない」と感じた経験がある方は、食べるスピードが関係しているかもしれません。
よく噛むことを意識し始めてから、いくつかの変化がありました。まず、以前と同じ量の食事でも満足感が増したということ。しっかり噛んでゆっくり食べることで、食事の途中で「もうお腹いっぱいだな」と感じるタイミングが早くなりました。結果として、無理に食べる量を減らそうとしなくても、自然と食事量が適正になっていったのです。
もう一つの変化は、食事そのものを楽しめるようになったことです。よく噛んで食べると、食材の味や食感をしっかりと感じることができます。以前は流し込むように食べていたものが、一口ずつ味わって食べるようになることで、食事の満足度が格段に上がりました。「量」ではなく「質」で満足できるようになったという感覚です。
よく噛んで食べるという行為は、特別な道についても技術も必要ありません。ただ、今まで無意識にやっていた食べ方を、少しだけ意識的に変えるだけです。最初は「一口につき20回以上噛む」といった目安を設けるのも効果的ですが、そこまで厳密にしなくても、「ゆっくり食べよう」と心がけるだけで十分に変化を感じられると思います。
夜更かしをやめてしっかり寝る
食事の見直しに加えて、生活習慣の面で大きく変えたことがあります。それは夜更かしをやめて、しっかり眠るようにしたことです。
以前の自分は、夜遅くまで起きていることが当たり前の生活を送っていました。仕事が終わった後にスマホを見たり、動画を観たりしているうちに深夜になり、そこから就寝。翌朝は睡眠不足のまま起きて、一日をぼんやりと過ごす。こうした生活が慢性的に続いていました。
睡眠とダイエットは一見関係がなさそうに思えますが、実際に意識して変えてみると、想像以上に大きな影響がありました。しっかり8時間の睡眠を確保するようになってから、まず感じたのは食欲の安定です。睡眠不足の日は、なぜか一日中何かを食べたくなる感覚がありました。特に甘いものや脂っこいものへの欲求が強くなり、食事管理をしているにもかかわらず間食が増えてしまうことがあったのです。
しかし、しっかり眠れた翌日は、この「何か食べたい」という衝動が明らかに減りました。食事の時間にお腹が空いて、食事をしたら満足する。この当たり前のリズムが自然と整うようになったのです。
また、体調そのものが安定するようになったことも大きな変化でした。睡眠不足が続くと、体がだるい、集中力が続かない、些細なことでイライラするといった不調が出やすくなります。この状態で食事管理を続けるのは難しく、「もういいや」と投げ出したくなる瞬間が訪れやすいのです。十分な睡眠を取ることで心身のコンディションが整い、食事管理に対する意欲も維持しやすくなりました。
夜更かしをやめるために意識したのは、就寝時間を決めて、その一時間前にはスマホを手放すことでした。最初は物足りなさを感じましたが、数日続けるとその生活に慣れ、むしろ朝の目覚めの良さや日中の体調の良さを実感するようになりました。睡眠はダイエットの「おまけ」ではなく、食事管理や運動と同じくらい重要な要素だと、今では確信しています。
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三食しっかり食べるようにした
ダイエットを始める前、自分の中にはある思い込みがありました。「食べなければ痩せる」という考え方です。
朝食を抜けばその分カロリーが減る。昼食を軽く済ませればもっと減る。食べる量を極端に減らせば、体重は落ちるはずだ。単純な引き算の理屈で考えれば、それは正しいように思えます。しかし、実際にそれを試みた結果は散々なものでした。
朝食を抜くと、昼までの間に強烈な空腹感に襲われます。その状態で昼食を食べると、つい食べすぎてしまう。あるいは、空腹に耐えられずに午前中にお菓子やパンを間食してしまう。昼食を軽く済ませた日は、夕方になると集中力が切れ、夕食で必要以上に食べてしまう。結果として、一日のトータルで見ると、三食しっかり食べた日よりも多くのカロリーを摂取しているということが珍しくなかったのです。
この悪循環に気づいてから、「食べない」のではなく「三食しっかり食べる」という方針に切り替えました。朝食、昼食、夕食をそれぞれしっかり食べる。ただし、それぞれの食事で栄養バランスを意識する。このシンプルなルールに変えたことで、食事管理は格段にやりやすくなりました。
三食しっかり食べるようにして最も大きかった変化は、間食が自然と減ったことです。食事と食事の間で極端な空腹を感じなくなったため、「何か食べたい」という衝動に駆られることが減りました。以前はデスクの引き出しにお菓子を常備していたのですが、三食をしっかり食べるようになってからは、それに手を伸ばす回数が明らかに少なくなりました。
もう一つの変化は、食欲の乱れが減ったことです。食事を抜いたり、極端に軽くしたりすると、体が「エネルギーが足りない」と感じるためか、次の食事で強い食欲が湧いてしまいます。三食の食事をしっかり取ることで、この食欲の波が穏やかになり、一日を通じて安定した食事を取れるようになりました。
食事管理というと「食べる量を減らすこと」だと思いがちですが、実際には「適切な量を適切なタイミングで食べること」の方がはるかに重要です。三食をしっかり食べることは、一見するとダイエットとは真逆の行動に思えるかもしれません。しかし、安定した食事リズムを作ることが、結果的に食べすぎを防ぎ、無理のない食事管理につながるのです。
だらだら過ごすのをやめた
食事や睡眠と並んで見直したのが、日中の過ごし方です。具体的には、「だらだら過ごす時間」を意識的に減らすようにしました。
以前の休日の過ごし方を思い返すと、ソファに座ったままテレビを観て、合間にスマホを触り、気づいたら夕方になっている。そんな日が少なくありませんでした。平日も、仕事以外の時間はほとんど座りっぱなし。動くといえば家の中を移動するくらいで、意識的に体を動かすということをほぼしていなかったのです。
だらだら過ごすことの問題は、単に消費カロリーが少なくなることだけではありません。長時間座ったまま過ごしていると、なぜか間食が増えるのです。体を動かしていないにもかかわらず、手持ち無沙汰になって何か食べたくなる。テレビを観ながらお菓子をつまむ。スマホを見ながらジュースを飲む。こうした「ながら食い」が、気づかないうちにカロリー摂取量を押し上げていました。
また、動かない時間が長いと、体全体の活動量が落ちます。一日の消費カロリーの大部分は、激しい運動ではなく、日常生活の中での細かな動きによって消費されています。立ち上がる、歩く、家事をする、階段を上る。こうした日常動作が減れば減るほど、一日のトータルの消費カロリーは下がっていきます。
そこで意識するようにしたのは、「少し歩く」「こまめに動く」というシンプルなことでした。一時間座り続けたら立ち上がって少し歩く。エレベーターではなく階段を使う。近所のコンビニまで車ではなく歩いて行く。買い物に出かける。掃除をする。どれも「運動」と呼べるほどのものではありませんが、こうした小さな動きを一日の中に散りばめることで、活動量は確実に増えます。
だらだら過ごす時間を減らしたことで感じた変化は、活動量の増加だけではありませんでした。意識的に動くようになると、気持ちの面でも変化がありました。体を動かした日は気分がすっきりし、食事管理に対するモチベーションも維持しやすくなります。反対に、一日中だらだら過ごした日は、なんとなく罪悪感を感じて気分が下がり、「もういいや」と食事管理を投げ出したくなることがありました。
体を動かすことと気持ちの安定は、思っている以上に密接に関係しています。大げさな運動を始める必要はありません。ただ、「だらだら過ごす時間を少し減らして、動く時間を少し増やす」。これだけで、体も気持ちも変わっていくことを実感しました。
まとめ
ダイエットを始めてから変えたことを振り返ってみると、そのほとんどは「何かを始めた」ことではなく「何かをやめた」あるいは「何かを減らした」ことでした。
総菜パンや菓子パンを買う頻度を減らした。揚げ物を日常食から外した。早食いをやめてよく噛むようにした。夜更かしをやめてしっかり眠るようにした。食事を抜く習慣をやめて三食しっかり食べるようにした。だらだら過ごす時間を減らして、少しでも体を動かすようにした。
一つひとつは本当に小さな変化です。どれも「今日から変えよう」と思えば変えられる程度のことばかりです。しかし、こうした小さな変化が日々積み重なることで、一週間後、一ヶ月後、数ヶ月後の体は確実に変わります。
最初からすべてを変える必要はありません。むしろ、一度にたくさんのことを変えようとすると、どれも中途半端になってしまったり、ストレスが大きくなって続かなくなったりする可能性があります。
まずは一つだけ、「これならやめられそうだな」と思えるものから手をつけてみる。それが自然と習慣になったら、もう一つ。このくらいのペースで十分です。
ダイエットは短距離走ではなく、長距離走です。大切なのは速く走ることではなく、止まらずに走り続けること。そのために必要なのは、強い意志力ではなく、無理なく続けられる仕組みを自分の生活の中に作っていくことだと、自分自身の経験を通じて強く感じています。ここまで紹介した内容はどれも特別なことではありません。
ただ、こうした「小さなやめたこと」を積み重ねることで、
自分は120kgから65kgまで体重を落とすことができました。
特別な才能や厳しい制限があったわけではなく、
日常の中で無理なく続けられることを選んできただけです。
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